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藍訪問看護ステーション

在宅看護の現場を知って多様な課題を実感

ai2_2病院勤務をしていた時に、「自宅に帰りたい」というがん末期の患者さんに出会うことがありました。「今、帰さなければもう帰れない」と思っても、それを主治医に強く押すことが出来ずにジレンマを感じることが多々ありました。そして、そのまま病院で亡くなる患者さんを見るたびに、「自宅に帰っても大丈夫!」と自信を持って主治医に言えるようになりたいと思ったのが、在宅看護に興味を持ったきっかけです。
初めは「一度訪問看護を経験してまた病院に戻ろう」というような軽い気持ちで在宅看護に関わりましたが、在宅の現場を知れば知るほど、課題の多さを実感するようになりました。最も課題だと感じたのは、福祉と医療がかけ離れ、病院での退院支援が独りよがりになっているということでした。私は行政の対応だけでは限界があると考え、民間の手で医療・介護・福祉をつなぎ、最期まで自宅で暮らせる街づくりに貢献したいと思うようになり、現在の役割を担おうと決めました。

 

ご本人の希望を叶えるケアは大きなやりがい

今は、医療福祉連携士として、訪問看護ステーションの経営と共に、医療・介護・福祉の壁を取り除けるような情報発信やコンサルテーションをしています。
訪問看護の魅力は、看護師自身の裁量でケアを提供し、次の訪問でそのケアの評価が目に見えて返ってくるところだと思います。その分責任は重いのですが、ご本人の希望を叶えることだけを考えてケアできるのは大きなやりがいです。
訪問看護のなかでは、数えきれないほどの感動の場面がありますが、印象に残っているのは、まだ若いがん末期の女性のこと。どうしてもお子さんの七五三に付き添いたいというご希望があったので、前日に腹水を抜いて、当日は晴れ着を着て七五三に行っていただきました。そしてお子さんの成長した姿を見て安心されたのか、その2日後に旦那さんの胸の中で帰らぬ人になりました。ご家族が亡くなるというのは耐え難いことですが、少しの悔いも残さないように精いっぱい関わっていただけるサポートは、訪問看護の役割だと考えています。

 

多くの方が自宅で素敵に過ごしていただけるように

日ごろ心がけているのは、ケアにご家族を巻き込んでいくということ。ご家族が取り巻くのではなく、入って来られるようにというのはいつも気にかけているところです。
また、ご家族がこれまでの人生を振り返る機会を提供することも、心がけていることのひとつ。たとえば、長年連れ添ったご夫婦の場合、空気のような存在になり、思い出話をする機会もないことだと思います。そんな時に、ご夫婦の馴初めを伺うと、照れながらも話してくださり、話に花が咲くものです。そんな風に、生きてきた道を一緒に振り返る和やかな時間は、第3者だから提供できることではないでしょうか。
これから目指すのは、ひとりでも多くの方々が自宅で素敵に過ごしていただけるようなサポートをすること。そのためには、在宅看護の充実が欠かせないことから、訪問看護ステーションの支援などにも尽力し、「この街なら最期まで安心して生きられる」と思える街づくりに貢献していきたいと考えています。

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